飛行機が嫌なのは

 飛行機が嫌なのは最初に書いたように退屈であることが大きいが、煎じ詰めると「逃げられない」ところにあるように思う。まあ、それは電車だって走っているときは逃げられないが、地面と接しているわけだし、いざとなれば停車して逃げ出せないわけではない。飛行機だとそうはいかない。

 だいぶん昔の話になるが、飛行機嫌いの友人がヨーロッパに行くため、飛行機に乗った。隣の席の客が目を見開いて本を読んでいるので、何だろう、とこっそり見てみると、柳田邦男の「マッハの恐怖」だった。じっと座っているうちにだんだん不安になってきて、叫び出したくなったそうである。機内で誰かが突然叫び出せば、それもまた恐怖であろう。

 見知らぬ同士が密室で、同じほうを向いてじっと座っている。しかも、その密室が空中に浮いている。異常な状態だと思うんだけどなー。