輪島とデーモン小暮閣下

 毎日というわけではないが、時間のあるときは大相撲を見る。

 今場所はやはり朝青龍の場所であって、ひとりで客を湧かせている。危ない相撲が続いて、客も「今日こそ負けるのか?」という視線で見ているようだ。期待なのか、心配なのか、その両方なのかは、まあ、客それぞれなのだろう。朝青龍が土俵に上がると、国技館の緊張感が高まるのが、テレビを見ていてもわかる。

 朝青龍の勝った後のワルぶりも相変わらずで、ダメを押したり(勝ちが決まったのに攻め続けること)、負けた相手を笑ったり、頬を張ってきた若手力士を睨みつけたりする。まあ、それもこれもあって朝青龍だと思う。

 昨日のNHKのゲスト解説者は輪島とデーモン小暮閣下だった。

 知らなかったのだが、「デーモン小暮」ではなく、「デーモン小暮閣下」でひとつの名前なのですね。新聞のテレビ欄に、NHKが堂々と「ゲスト・輪島大士 デーモン小暮閣下」と(一見)敬称付きで載せているのを見て、思わず笑ってしまった。

 輪島は、年寄名跡にまつわるトラブルでずっと角界追放の身になっていたから、ゲスト解説はおろか、本場所に来るのさえ二十数年ぶりだったんだそうだ。大相撲も「テレビでたまに見る」程度だとか。

 輪島のゲスト解説は、横綱時代の自分の経験を語ったりもするが、全体的にはちょっと相撲の好きなおじさん、というふうであった。飲み屋で会ったいい感じのおじさん、というふうだ。技術解説ならデーモン小暮閣下のほうがはるかに詳しい。

 口下手の輪島を、デーモン小暮閣下がうまくリードして、楽しい放送だった。毎日こんな解説ばかりだと飽きそうだが、時々ならいいと思う。