NHKの新会長にアサヒビール相談役の福地茂雄氏が就任することが決まった。
もちろん、わたしには何の関係もない話である。「頑張ってください」と真実みのカケラもない言葉を贈っておく。
ただ、朝日新聞の「ひと」欄でこんな紹介をしていて、わたしの思考が桂馬飛びした。
社長時代の01年、「試飲して、出す方がお客様目線だと確信した」と封印していた発泡酒の販売に踏み切り、同年のビール類出荷高トップに躍り出る。
「そうかあ。ビール会社の商品会議は酒を飲むのかあ」と変なところに感心した。
考えてみれば、新商品を試してみるのはメーカーなら当たり前の話なのだが、ヨッパラわないのだろうか。
「ま、社長、もう一杯、ひとつ」
「いや、これ以上は仕事に差し支えるから」
「ま、ま。二杯目、三杯目の味を知るのも、お客様目線として大切ですよ」
「そうか。いやー、キミは相変わらず勧め上手だねえ」
「恐れ入ります」
「(んぐんぐんぐ)プハーッ。たまんないねえ。この商品が成功したら、キミをヨーロッパ支社長にしよう」
「あ、ありがとうございます!」
「おい、誰か一曲やれ!」
なんてんで、ドンチャン騒ぎ。日の丸の扇子が舞い、肩衣(かたぎぬ)つけた秘書室連中が鳴り物揃えて繰り出してくる。専務お得意の腹芸や、社長のマジックショーまで飛び出して、そのままの勢いでわっと二次会へ――。
後には、何も決まらないままに、新商品の缶だけが残された。
なんていう愉快な会社はさすがにないですよね。ハイ。
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「今日の嘘八百」
嘘六百二十三 おれがこんなテイタラクになってしまったのは、たぶん、行政の不作為である。