サッカー論・サンバ・キムチ編

 ブラジルのサッカーをサンバのリズムと結びつける話も結構、目にするが、これも乱暴だ。


 ロナウジーニョはサンバが好きらしいけれども、今のブラジルの若者はあまりサンバを聞かないという。
 サンバは、リオのカーニバルのような特別なイベントのためか、あるいは多分に観光客向けの音楽という印象が強いらしい。


 ブラジルには、ブラジリアン・ポップスと呼ばれる音楽がある。
 日本のポップスと同じで、ミュージシャンによって、ロック、ヒップホップ、R&B、テクノ、クラブ系のダンスミュージック、フォークと、いろんな音楽の影響を受けている。


 まあ、「ブラジリアン・ポップス」とわざわざ「ブラジリアン」をつけるのは外国人なのだろうが、他の国と同じで、ブラジルの若者もポップスを好む人が多いそうだ。


 ここから先はあくまで想像だが、ブラジルの選手からすると、自分のプレーとサンバを結びつけられても、ピンと来ないのではないか。
 日本人選手が外国人に、「アナタノ、プレーニ、盆踊リノリズムヲ感ジマス」と言われても困るだろうように。


 まあ、ここらについては、ブラジルの選手達に話を聞いてみたいと思う。


 以前ほどではないが、韓国人選手のフィジカルの強さをキムチと簡単に結びつける話も目にする。


 以前、ホン・ミョンボが何かに、まあ、僕らも冗談でキムチ・パワーと言ったりするけどねえ、と困ったように書いていた。
 うろ覚えだが、彼はフィジカルの強さの理由を、ハードな練習に置いていたと思う。


 肉体と食生活は深い関係にあるけれども、キムチだけを強さの秘密にするのはあまりに単純だし、選手に対して失礼だと思う。


 日本人選手だって、「あなたの体は醤油のおかげですね」と言われたら、閉口するだろう。


 シンプルな理由に集約したくなる心理もわからないではないが、文化の成り立ちというのは複雑で、そう簡単に解明できるものではない。サッカーと結びつけるとなれば、なおさらだ。
 サッカーと文化をあれこれ結びつけてみるのは面白いだろうけれども、気をつけてやらないと馬鹿にされかねないと思う。


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「今日の嘘八百」


嘘百七十五 偉そうに書いたこと、謝罪いたします。