電子レンジの思い出

 だいたい、マイクロウェーブを物体に照射して熱反応を起こす、などというものすごいものを家庭で気軽に使っているところからして、何か間違っている気もするのだ。

 朝、寝ぼけて、缶コーヒーを金属缶のまま電子レンジに入れて温めたことがある。ジリジリジリ、という音とともに青白いスパークが電子レンジ内を飛び交い、驚いた(目を覚ますにはもってこいだったが、たぶん、危険なので、やってはいけません)。慌てて取り出すと、イオン臭というのだろうか、独特の刺激の強い臭いがして、缶がへしゃげ、黒焦げになっていた。

 電子レンジについてはもっと上手(うわて)がいて、ここからは尾篭になるので、その手の話が嫌いな方は読みやめていただきたいのだが、コーウンを皿に載せ、電子レンジでタイマーをフルにしてみたという科学する心なんだか馬鹿なんだかわからないやつもいた。チリチリチリ、という音の後、コーウンが大爆発を起こし、電子レンジ中に飛散したそうである。

 電子レンジ、おそるべし、である。いや、電子レンジに限らず、携帯電話だって、プラズマテレビだって、DVDプレーヤーだって、全自動洗濯機だって、換気扇だって(モーターの原理について調べてみてください。中ではものすごいことが起きているのですよ)、大変なものである。

 何しろ、電子レンジと液晶テレビイワタニ・ホースノンのガスボンベと釘が100本あれば、半径30m内の人間を殺傷できる爆弾が作れるそうだ。というのは今テキトーに作った嘘だが、まあ、そういうことも信じられそうな大変な家庭環境の中でワシらは暮らしているということである。