笑ってしまった

「〜してしまった」という言い方には、どこか「不本意ながら」というニュアンスがある。


 例えば、「コケてしまった」、「パンツがずり落ちてしまった」、「指さしてバカにされてしまった」。


 で、わかったような、わからないようなのが、「笑ってしまった」という言い方だ。


 笑う、というのは結構なことなのだが、なぜか、「しまった」がつく。
「ヤラレタ!」という感覚があるのだ、「笑ってしまった」には。


 もしかしたら、突然出てきた冗談や状況に不意をつかれて笑うと、「笑ってしまった」となるのかもしれない。


 にらめっこに負けると悔しい心理に近いのだろうか。半ば楽しみながらも、ちょっと悔しい。


「怒ってしまった」、「泣いてしまった」、「嬉しくなってしまった」と、感情の表現には「しまった」がしばしばつく。


 感情を表に出す、というのは、割に想定外のことと捉えられているのかもしれない。無表情こそが、標準、と。
 むむむ、とも思うが。


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