本当だかどうだか知らないが、最近の死体はすぐに焼かないでも構わないんだそうだ。
のっけから、唐突な話で申し訳ない。逃げ馬タイプなので、ついそういうことになる。そうして、最後の直線で息切れして連敗街道を歩むのだ。放っておいていただきたい。
いや、そんな話をしたいわけではなかった。防腐剤のことである。
お菓子だの、コンビニ弁当だの、野菜だのに、よく防腐剤が使われている。
現代の日本に住む人々はああいいうものをよく食べているので、防腐剤が体内に蓄積し、死んでもなかなか腐らないそうだ。
落語のマクラで聞いた話だ。しつこいが、本当かどうかは知らない。
しかし、本当なら凄い話だ。つまりは、生きているときからホルマリン漬けのようなものなのである。
人類の長年の夢、不老長寿はコンビニ弁当を食うことで実現してしまったではないか――と一瞬、思ったのだが、老いないことと、腐らないことは別の話であった。
死んでからなかなか腐らないと、どういうメリットがあるかというと、割にゆっくりと葬式の準備ができ、葬儀屋が多少楽になるくらいである。
後はあれかな。土葬されて、墓から出てくる確率が多少は高まるのかもしれない。
わたしなぞ、防腐剤がどうの、ゴーセーチャクショクリョーがどうのを全然気にしていないので、相当蓄積しているだろう。
遺族のミナサンよ。いつのことやら知らぬが、その節はどうかのんびりやっていただきたい。
でも、土葬はやめてくれ。墓ン中で目が覚めるのは、できれば避けたい。わたしが死んだら、念のため、トドメをさすよう、お願いしておく。
ところで、食品添加物に注意して食べないようにし、有機栽培の野菜などを食べている人々がいる。
まあ、それはそれで各人、好きにやればよいのだが、実際のところはどうなのだろう。
これだけいろんなナントカ剤が使われている世の中だ。ある程度は、そうしたものに体を慣らしておいたほうがいいようにも思う。
しかるに、あまりに避けていると、耐性ができなくて、いざそういうものが体内に入ったとき、かえって病んでしまう、なんてことはないのだろうか。
「煙草のにおいが嫌なら、自分も吸うようになればいい」という詭弁に近い気もするけれども、さて、どうかな。