命名権

 命名権というのがあって、以前は野球のスタジアムなんかがもっぱらだったが、最近はどんどん範囲が広がっているらしい。
 少し前に、鳩サブレーで有名な鎌倉の会社が鎌倉の海水浴場の命名権を買ったが、行使しないことに決めた、というニュースがあった。

→ 「鳩サブレー海岸」にはしません 豊島屋、命名権購入も名前はそのままに

 豊島屋、なかなか男(か女か知らないが)を上げたという話だが、なまじっか「鳩サブレー海岸」にするよりPR効果もあるかもしれない(しばらくは、だが)。
 ふと思ったのだが、地方自治体、どこも財政が苦しいみたいだから、いっそ地名の命名権を売ったらどうなるだろう。
 品川区楽天町二丁目、とか、港区森ビル町五丁目とか。もっとも、中には「NTTドコモ ソフトバンク支店」みたいなわけのわからないケースも出てくるかもしれない。
 書いていてふと思ったのだが(ふと思ってばかりである)、豊田市の場合はどうなんだろう。Wikipediaを見てみた。

→ 豊田市 - Wikipedia

 さすが豊田市である。市の紹介なのに、最初に出てくる写真がトヨタ自動車の本社だ。もっとも、その市で最も象徴的なもの、ということで言うと、豊田市の場合はトヨタ自動車に間違いない。
 市名についてかいつまんでまとめると、豊田市は元々、挙母(ころも)市と言ったが、豊田喜一郎の創業したトヨタが成長。1959年に地元財界の働きかけもあって豊田市に市名を変更したということらしい。企業のほうに地方自治体があやかったわけで、普通の命名権の逆である。さすが世界のトヨタだ。海外で言うなら、デトロイトゼネラル・モーターズ市に、シュトゥットガルトメルセデス・ベンツ市と改名するようなものかもしれない。
 おれも名前を売っぱらうかな。フォルクスワーゲン稲本とか、鳩サブレー喜則とか。月々、お手当5万円からでいかがでしょう、企業のマーケティング担当の皆様。