人間には二種類いる

「人間には二種類いる。○○するやつと○○しないやつだ」という言い回しがあって、なかなか気に入っている。
 二分できる話ならたいてい通用するのがよいところで、例えば、「人間には二種類いる。壁を前にしてよじ登るやつと諦めるやつだ」でもよいし、「利用するやつと利用されるやつだ」でもよいし、「金を愛するやつと金に愛されるやつだ」でもよい。
 あらためて考えると、この言い回しの面白さは何から来ているのだろうか。内容的には大したことを言っていないのだが、言い回しのせいで何となく「真理をついている」ように感じさせる。分化するという単純化の魔力かもしれない。ちょっと飛躍するが、「日本人は○○な民族である」とか、「太平洋戦争には○○のせいで負けた」とか、ああいう単純化がすっきりして見えて、惹かれる人がいるのに似ている気もする(ちなみに太平洋戦争にはおれのせいで負けたのである)。
 おれが気に入っているのは、何の映画だったか忘れたが、西部劇で家に押し入ったガンマンが銃を突きつけながら言う台詞だ。「人間には二種類いる。ドアから入ってくるやつと、窓から入ってくるやつだ」。イカす。こういうウィットは大好きだ。