「障がい」という書きかたは神経過敏ではなかろうか

 最近気になる表記法に「障がい」「障がい者」というのがある。企業のウェブサイトや紙媒体でよくつかわれている。

 例の新聞などの「だ捕」「ねつ造」「ら致」といった常用漢字の制限による交ぜ書きとはちがう。もちろん、「ゆうちょ」のようなね、ね、かわいいでしょスリスリすりより系アホバカマヌケ白痴ファンシー幼稚表現ともことなる。

「障害」の「害」の字にネガティブな要素を見てひらがな表現にあらためているのだろうが、ひらがなにしたことで違和感をおぼえさせ、「『がい』って、ああ、『害』か」とかえって意識させる結果になっているとおもう。

 おそらくはこうした表記法は障害者から直接出てきた要望ではないだろう。あるいはどこかのおせっかいがなにか言いだしたということはありえるかもしれないが、自主規制だろうとおもう。過剰反応、神経過敏で、かえって壁をたかめることになりかねない。

 まあ、企業というのはクレームに対して基本的に腰がひけているものだし、「とりあえず先にあやまっとく」という類の文化が日本にはあるから事情は推察するが(あたしだって大人だ)、行きすぎだろう。それに漢語の熟語をひらがな書きするのは、ガキ相手は別としてまちがいである。

「障害」の「障」の字にも「さわり」という意味があるから、そのうち、過剰反応が進んで、「しょうがい」という書き方になるんじゃないかしらん。これではもはや何を指しているのかよくわからない。そんなやさしさも気づかいも余計だと思うのよね。