六日町〜十日町

 この三連休は法事で富山の実家に帰っていた。


 東京から富山に行くには、上越新幹線で越後湯沢まで行き、在来線に乗り換える。


 乗り換えてしばらくは、六日町、十日町などの山間を通る。
 今まであまり気に止めていなかったが、電車の窓から見ると、美しい風景である。


 細長い盆地のへりから、すぐ山が立ち上がる。
 よく晴れた日で、青空の下、山々が光を浴びていた。


 山には人工物がほとんど見えない。平らな盆地の人間の世界の際から、別の世界が立ち上がっているように見える。


 随分と贅沢な景色を、毎日眺めて暮らしている人々がいるのだなあ、と思った。


 しばらく走ると、急に夕景色となった。
 夕日は雲に隠れて見えない。そこここで山に薄くかかっている雲を、透過してオレンジ色に輝かせていた。
 その下にある、田やまばらな建物や道路といった人の営みが、小さく、しかし確かなものに見えた。


 わたしは特に何の神様を信仰しているということもないけれども、ああいう景色を見ると、普段どっぷり浸かっている人間世界とは別の領域がある、と感じる。


 それは、現代で幅を利かせている科学的思考とは無関係のものだ。おそらく、スピリチュアルやオカルトとも関係ない。


 ただそこにあるように感じる、というものだと思う。