なぜあなたはそうまでして忍び込みたいのか

 例によって脈絡のない話題で、ご勘弁。別にこれを書かねば、という話もないのだ。


 時代小説や時代劇に出てくる忍者というのは面妖な存在で、あれはどういうことなのだろう、などと考え出すと、結構な退屈しのぎになる。


 あのトレードマークというべき黒装束からして不思議で、あんな目立つ格好、他にちょっとないように思う。


 まあ、夜だからいいのだ、ということかもしれないが、それにしたって、どこかで着替えなければいけない。いったいどうするのだろう。
 城下の隠れ家で着替えるとしたら、夜とはいえあの姿で街を歩かねばならないし、忍び込んでからだとしたら、着替え中は敵地で褌一丁である。見つかったら、無防備なうえ、変質者扱いであろう。


 時代劇でよくあるパターンに、天井裏に忍び込む、というのがある。密談を盗み聞きしたり、眠りながら空けている口に毒を垂らしたりする(寝相が悪かったらどうするのか)。


 しかし、天井裏なんて全然掃除してないだろう。
 任務を達成して外に出たら、黒装束が灰色の埃まみれ。大掃除で本棚の裏に頭をつっこんだようなもので、揚げる前の衣をつけたみたいな姿になっているんじゃないか。目立ってしょうがない。


「フフ。天井裏に鼠が一匹おるようじゃな」
 ふんっ!


 と槍で突かれるのも、よくあるパターンである。しょっちゅう狙われる屋敷は、天井が槍の穴だらけになっていたりして。


 ガキの時分のことだが、忍者屋敷なるものを見にいった記憶がある。確か、学校で見学に行ったのだ。先生達は何を学ばせたかったのだろう?


 うろ覚えだが、忍者屋敷には確か、どんでん返しがあった。例の、くるりと回る壁ですね。


 あれも不思議で、なぜ忍者の屋敷に回る壁が必要なのか、今イチよくわからない。


 踏み込まれることを想定してだろうか。用意周到といえば用意周到だが、あまり優秀な忍者ではないような気もする。



い、息苦しくて、激しい運動はできません。