第六感

 第六感というものがあるとかないとか、そういう話があって、もちろん、わたしに本当のところはわからない。


 第六感はしばしば超能力の一種とされているようだ。確かに、常人になかなか使えないという点では超能力なのかもしれない。


 しかし、第六感の働きまでもが超能力的かというと、ハテ、どうなのだろうか。


 ご承知の通り、五感というのは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つだ。では、もし第六感が嗅覚のようなものだとしたら、どうなるだろう。


「む。誰か屁をこいたな」ということを嗅ぎつける――いや、“嗅ぎつける”だと嗅覚そのものになってしまうが、まあ、そんなことをそこはかとなく感知する第六感。満員電車で密着してしまったオッサンの加齢を、そこはかとなく知る第六感。


 あるいは、「ん〜、しょっぱい」と、ぼんやりわかる第六感。「何となく、ヌルヌル風呂桶的」と、気色悪くなる第六感。ただそれだけの第六感。


 第六感がそういうものでないと、誰に断言できるだろう。


 いや、「私は断言できる」などと言い出されても困るのだが。

                  • -


「今日の嘘八百」


嘘六百四十四 ヘレン・ケラーは晩年、ごく親しい人物に「『ウ、ウォラ』は本当は当てずっぽうに言ってみただけだった」と打ち明けた。