殺しのライセンス

 007シリーズをあまり見たことがない。


 記憶にあるのは3、4本といったところで、しかも、どれがどれやらあまり区別がつかない。


 ただ、日本を舞台にしたやつ(「007は二度死ぬ」だったと思う)は、断片的に強烈なシーンを覚えている。


 丹波哲郎の船長が「貨物船ニンポーを終え!」と真顔で命令したり、ボンドガールが浜美枝だったり(他にいなかったのかね?)、ジェームズ・ボンドが紋付き袴姿になったり、火山(富士山だったか?)の地底で忍者集団が巣穴に酢でも流し込まれた蟻のように走り回ったりと、なかなか壮絶な映画だったと記憶している。


 そんなことはどうでもよい。


 確か、007は「殺しのライセンス」、殺人許可証を持っているのだったと思う。
 映画の中で、それを使うシーンはあるのだろうか。


 例えば、敵を殺すところをたまたま見かけ、「こらーっ!」と駆けてきたお巡りさんに(イギリスのお巡りさんは「こらーっ!」とは言わんか)、「あ、これ」と殺人許可証を見せるのか。
 そうして、お巡りさんは「ハ! そういうことでありましたか!!」と納得してしまうのか。


 任務を遂行するためには、いちいち連行されてから殺人許可証を見せるわけにはいかない。
 現場対応が必要となるはずだ。


 ということは、イギリス中のお巡りさんに、殺人許可証について周知徹底されている必要がある。
「これこれこういうものを持った人が殺人しても、見逃すベシ」、と、何十万人ものお巡りさんが知っているのか。


 謎が謎呼ぶ殺人許可証。


 さらには、お巡りさんに連行されないためには、「スピード違反許可証」や「住居不法侵入許可証」、「窃盗許可証」等々も必要になるはずだ。
 ジェームズ・ボンドは、それらをカードケースに入れて、所持しているのだろうか。


 エリザベス女王が死去、もしくは退位したら、ジェームズ・ボンドは「チャールズ国王陛下の007」となるのか。


 謎が謎呼ぶジェームズ・ボンド


 かといって、特に見てみようという気にはならない。


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