「違法外国人ゼロ」って焚きつけているのか

 自民党が「違法外国人ゼロを目指す」と参院選前に唱えた。石破首相時代に当時の小野寺政調会長などがまとめた提言である。

 非常に誤解を招きやすい言い方で、おれなぞは最初文字面だけを見たときには「違法日本人ゼロは目指さなくていいのだろうか?」などとツッコんでしまった。

 内容的には出入国管理の厳格化や外国免許の国内免許への切り替え、外国人による社会保険制度の不正利用、不動産取得の監視などであるらしい。「違法外国人ゼロを目指す」というと外国人の法律違反は一切許さん! というふうに見えて、日本人の法律違反は許すのか、と思えてしまう(もちろん、外国人であれ日本人であれ法律違反は許されんのだが)。なんだか、排他的風潮を焚きつけているようでもある。

 警察庁の「来日外国人犯罪の検挙状況」によるとここ10年ほど、外国人犯罪の検挙件数はあまり変わっていないようである。

 

第2項 来日外国人犯罪の検挙状況

 

 外国人の犯罪がネットなどでよく取り上げられるのは「外国人は怖い」というなんとなくの印象や、反感、憎悪によるものであって、事実とは必ずしも重ならない。デマゴーグの恐ろしさもおれは感じる。

 日本人にも凶悪犯罪や常軌を逸した事件はあるのであって、そういう報道を見るたびにおれは「これがもし外国人によるものだったら、『だから外国人は』と騒ぎ出すやつらがいるのだろうなあ」などと思う。日本人にだって外国人にだって恐ろしいやつはいて、一方できちんとしているやつ、愛せるやつだっている。

 現在の高市政権は政策的には外国人管理(監視?)を打ち出しているが、「違法外国人ゼロを目指す」とは言っていないようだ。妙な「世論」(って一体なんなのか?)に動かされないこと、事実を踏まえることを願っている。