快楽の園

 上のタイトル部分の画像を変えてみた。


 理由は大したことではない。
 前は黒田清輝の「湖畔」を使っていて、気に入っていたのだが、冬に浴衣姿の女もあるまいと思ったからだ。あと、仕事から逃避したいという気分も少々(多々、か)。


 新しい画像は、16世紀のネーデルラント(今のオランダ、ベルギー)の画家ヒロエニムス・ボスの「快楽の園」の一部。
 選んだ理由は、これまた大したことではなくて、パンチが欲しかっただけだ。
 元の絵はパンチどころか、メガトン級の変態絵画なのだが。


「快楽の園」は3枚のパネルから成っていて、左から順にエデンの園、大勢の男女がすっ裸で絡みあう現世(と、おぼしき世界)、それから地獄が描かれている。


 リンク先の「拡大表示」をクリックすると、全体像を見ることができる。


→ Salvastyle.com - ヒエロニムス・ボス「快楽の園」


 右側の地獄部分だけなら、Wikipediaに高解像度の画像がある。


→ 画像:Hieronymus Bosch - The Garden of Earthly Delights - Hell.jpg - Wikipedia


 ねえ。とんでもないでしょう。


 素朴に捉えれば、エデンの園で人間が堕落して、戒律を忘れて欲しいままに快楽にふけった結果、地獄でひどい目にあう、と、そういう教訓を説いているように思える。
 画家も、納品する際には、そういう理屈をこねたんではないかと想像する。じゃないと、この絵はあまりにヤバすぎる。


 しかし、画家の本心はどうだったのだろう。


 絵としての迫力は、右に行くにつれて増していくように思う。
 右の地獄の絵を描いているときなんか、ボスは「ウヒヒヒヒ。やったれ、やったれ。ここは豚にしたれ。豚、豚、豚。ウヒヒヒヒヒ」などと暗い歓びにうち震えていたのではないか、と想像する。


 いやね、低劣な精神の持ち主(わたしのことだ)は、しばしば、他人も自分と同じ低劣な精神の持ち主に違いない、と考えたがるものですが。

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「今日の嘘八百」


嘘六百三十 獄卒に「快楽の園」を見せたら、「おれらはここまでひどかねえ」と腹を立てた。