「ビミョ〜」の凄いところは、「ビミョ〜」と聞いたほうも、ビミョ〜な気分にしてしまうところだ。
たとえば、今朝の朝日新聞の一面トップ、「衆院2補選 自民・山崎拓氏が復活」という記事に「ビミョ〜」と入れてみよう。
福岡2区補選では、再起をかけた自民前職の山崎拓氏が民主新顔の平田正源氏、共産新顔の山田博敏氏ら5氏を破り、議席を奪回した。投票率は45.99%(前回53.41%)だった(ビミョ〜)。
まあ、投票率45.99%で公明党/創価学会の後押しを受けて当選すれば、確かにビミョ〜である。
あるいは、天気予報。
低気圧が本州の南岸沿いを北東へ進む。関東は朝晩一時雨(ビミョ〜)。東北南部や新潟は曇り。東北北部は夕方前まで晴れる。
漱石先生の大ヒット・チューン、「吾輩は猫である」の出だしでやってみる。
吾輩は猫である。名前はまだ無い。ビミョ〜。
終わってしまった。
「ビミョ〜」の持つ、話題をスルーする機能が発揮されたのだろう。
名前のまだない猫は、まあ、ビミョ〜なポジションではある。
しかし、「ビミョ〜」を悲惨なものに入れてはいけない。
たとえば、「シリーズ20世紀の記憶〜第2ミレニアムの終わり」(毎日新聞社、ISBN:4620791261)より、「日露戦争年表」で。
→1904/2/4●御前会議、露との交渉を打ち切り、軍事行動に移ること決議→2/6★露に国交断絶を通告。露も動員令を布告→2/8★陸軍先遣部隊、仁川に上陸開始。連合艦隊が旅順港外の露艦隊を夜襲→(中略)→12/2★203高地の激戦で両軍に死傷者続出のため一時休戦(ビミョ〜)→12/5★日本軍が203高地を占領(日本軍の死傷1万6935人)→1905/1/1★露軍、旅順で降伏を申し出る→(中略)→3/16★鉄嶺占領→5/27★連合艦隊、日本海で露のバルチック艦隊を破る(→5/28、日本海海戦)→(中略)→11/25●批准書交換。損害は死者・廃疾者11万8000人(ビミョ〜)、艦船91隻、軍費15億2321万
広島の原爆では、たった一個の爆弾で1945年末までに死者14万人(誤差±1万人)、沖縄戦では死者・行方不明者19万人(そのうち、3分の2が民間人)だそうだ。
それに比べると、激戦が伝説化し、約1年半に渡った日露戦争での死者・廃疾者が11万8000人というのは、ビミョ〜な気もする。
が、そう感じるのは統計数字になった途端、人命と個々の苦しみに対する感覚が鈍くなるせいだろう。
アンケートに入れるのはなかなかよい(引用元は、朝日新聞が4月24日に行った全国世論調査)。
◆小泉内閣を支持しますか。支持しませんか。
支持する
支持しない
ビミョ〜。
◆中国で大規模な反日デモが続いたことなどを受けて、小泉首相と胡錦涛国家主席による首脳会談が行われました。その結果、日中関係改善のために、対話を促進していくことで合意しました。あなたは、日中関係は今後、修復に向けて前進すると思いますか。
大いに前進する
ある程度前進する
あまり前進しない
まったく前進しない
ビミョ〜。
◆今回の会談で小泉首相は、反日デモについて、中国側に適切な対応を取るように要請しましたが、謝罪や補償には触れませんでした。あなたは、このことを評価しますか。
評価する
評価しない
ビミョ〜。
何となく、「ビミョ〜」を選んじゃう人が多そうな気がする。ビミョ〜な日本のビミョ〜な人々だから。
……というか、こんなややこしい話、一般人にはそう簡単に判断できないように思う。まさに、ビミョ〜な問題。