年金は、言うまでもなく、生活、人生に直結する非常に重要な問題である。
非常に重要な問題なので、わたしのような馬鹿者の出る幕ではない。
しかし、ひとつだけ言わせてもらえれば、「ねんきん」という書き方はやめていただきたい。
いくらこちらが馬鹿だからといって、そうあからさまに馬鹿にしていいというものではない。
おそらく、日本の現在の識字率からして、障害を持つ人は別として、20代以上で「年金」を読めない人はほとんどあるまい。
視覚的な効果の点でも、「年金」がパッと目に入って理解できるのに対して、「ねんきん」はスッと頭に入ってこない。
例えば、郵便物が送られてきたとして、封筒に「ねんきん特別便」と書いてある場合と、「年金特別便」と書いてある場合では、受け取る側の注意が全然違うだろう。
これだけ騒がれているだけに、「年金特別便」のほうがずっと受け取る側の気を引く。「ねんきん特別便」では、とっさに年金のこととわからず、放っておかれるか、捨てられる可能性がある。
「ねんきん特別便」という書き方には切迫感がない。
救急車や消防車は、ピーボー、ピーポー、ウー、ウーと鳴らすからまわりの人も「ややっ!」と思うのであって、あれが白雪姫の「♪ハイホ〜、ハイホ〜、タ〜ララッタ、ラッタッラ!」などというメロディを流して、浮かれながら走っていたら、人は道を空けようとしないだろう(いや、別の意味でビビって空けるかな……)。
あるいは、警察が立て看に、
1月22日午前5時頃、この交差点でひきにげじけんがはっせいしました。もくげきしゃを探しています。
とか、
れんぞくふじょぼうこう・さつじんじけんのはんにんが、このあたりでにげました。
などと書いては、切迫感に欠けるだろう。
だいたい、「ねんきん」は「粘菌」を思わせて、よくない。そんなものをいきなり特別便で送りつけられても困る。「ねんきん特別便」。ひらがなのところが妙に粘り気を感じさせて、気色悪い。
エーイ、馴れ馴れしい。寄るな、寄るな。
どうも、社会保険庁なり厚生労働省なりは「親しみやすさ」、「わかりやすさ」ということを勘違いしているのではないか。
年金に、ひらがな的な親しみやすさ、馴れ馴れしさはいらんのよね。注意を引くこと、心配な心持ちにさせることが大事なのだ。
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「今日の嘘八百」
嘘六百四十一 天使の翼、あれは肩胛骨が発達したものらしい。