上京物語

 着いた早々、上野駅でひとりがスリにあった。交番に届けると、おまわりさんが鼻で笑うようにして、書類を書いた。
 その後、渋谷の人混みで友達ふたりとはぐれてしまった。
 どうしよう、とぼんやり突っ立っていると、カバンを置き引きされた。帰りの切符も、電車賃も、家に電話をかけるお金すらもなくなり、途方に暮れた。
 親切な女の人に声をかけられ、のこのこついていった。安い旅館のようなホテルのようなところに入り、金がないとわかると、部屋の奥から出てきたオッサンにボコボコにされた。
 そのまま、千住近くのタコ部屋につれていかれ、以後、いくつもの現場を転々とし、時にはダム工事の現場に行ったり、晩秋には一ヶ月ほど静岡のミカン農家を手伝ったりしながら、今に至っている、というのはもちろん、全部デタラメである。


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「今日の嘘八百」


嘘二百二 「役人」という名称は、自分達で「役(仕事)」を作り出せる人、というところから来ている。