今、ちょぼちょぼと安倍政権のふりかえりについての本を読んでいる。
安倍元首相は在任期間(第二次)が7年8ヶ月と憲政史上最長を記録した。しかし、アメリカの大統領は二期なら8年、一期でも4年だから、それに比べればそれほどの長さではない。
日本の首相は一般的に在任期間が短い印象がある。実際にどのくらいなのか、過去5代の首相で見てみよう。
菅義偉 1年0ヶ月
安倍晋三 7年8ヶ月
野田佳彦 1年3ヶ月
菅直人 1年2ヶ月
鳩山由紀夫 8ヶ月
(端数は切り捨て。以下、同じ)
安倍晋三を除けば、いかにも短い。ドタバタの続いた民主党政権のせいかといえば、その前の自民党政権でも麻生太郎11ヶ月、福田康夫11ヶ月、安倍晋三(第一次)1年0ヶ月で、さらに前の小泉純一郎の5年5ヶ月を別とすれば、短い。
議会制民主主義のお手本とも言われるイギリスはどうだろうか。
リズ・トラス 1ヶ月
ボリス・ジョンソン 3年1ヶ月
テリーザ・メイ 3年0ヶ月
デーヴィッド・キャメロン 6年2ヶ月
ゴードン・ブラウン 2年10ヶ月
減税政策の混乱で1ヶ月で辞任したリズ・トラス(イギリス史上最短の政権だったそうだ)を別とすれば、総じて日本より長い。
ドイツはどうだろう。
アンゲラ・メルケル 16年0ヶ月
ゲアハルト・シュレーダー 7年0ヶ月
ヘルムート・コール 16年0ヶ月
ヘルムート・シュミット 8年4ヶ月
ヴィリー・ブラント 4年6ヶ月
(ヘルムート・コール以前は西ドイツ)
長い。多党制の国で政権は連立を組むことが多く、不安定要因が多そうなのだが、首相が変わらないのはどうしてなのだろうか。日本にとって研究の価値がありそうだ。
最後にイタリア。
マリオ・ドラギ 1年8ヶ月
ジュゼッペ・コンテ 2年7ヶ月
パオロ・ジェンテローニ 1年6ヶ月
マッテオ・レンツィ 2年9ヶ月
エンリコ・レッタ 9ヶ月
短い。日本と同じか少し長い程度である。(少なくともおれは)知らない名前が多いのは在任期間の短さと、それによる存在感の弱さのせいかもしれない。
在任期間が短いということは落ち着いて政策の実現に取り組む時間が短いということであり、わさわさしているうちに政権が終わってしまうということでもある。それを補完するために、中央官庁による官僚政治がはびこるという側面(時に大臣が追認機関になってしまう)もあるだろう。政治家間の権力闘争の激しさは原因なのか結果なのか。
安定政権がなかなか生まれないということはあまりよろしいことではない。せめてアメリカの大統領並みに4年くらいは政権を担わないと、大した政策を実行できないように思う。その面から日本の政治制度を見直してみることも大切ではないか。