台風の影響力

 今日の東京は台風が近づいている影響で、大雨が降ったりやんだりしている。

 降るときには激しく、いわゆる「滝のような雨」なのだが、ふっとやんだりする。相当に大気が不安定なのだろう。

 毎年、台風が来るたびに、その威力に感心する。よくまあ、こんなに上空に水を汲み上げて落とすものだ、よくまあ、こんな広い範囲でぐるぐる蛸の足のような雲をまわすものだ、とそんなふうに思う。

 少し前に「気候で読む日本史」という本を読んだ。奈良時代以降、江戸時代まで、気候がどのように歴史に影響を与えてきたかという内容で、興味深かった。

 歴史的に不作を呼び込む二大要因は寒冷と日照り(旱魃)のようだ。寒い、あるいは水不足になると作物が育たず、作物が育たないと飢饉になり、飢饉になると人々がさまざまな非常な方向へと活動し、歴史が大きく動くことになる。

 意外と台風が大きな不作を呼んだ例は少ないようだ。台風によって作物が荒らされることは多いのだろうが、寒冷や日照りに比べると局所的で、他の地域の作物でカバーできるのかもしれない。あるいは記録が限られている可能性もある。

 台風が来るといろいろと不便だが、割りに短期で勝負がつく。台風が通り過ぎた後は空気が洗い清められ、いわゆる台風一過の美しい青空が広がることが多い。

 おれはそれほど台風が嫌いではないな、と思う。