動物のセクシーボイス

 昨日、自転車に乗っていたら急な雨にやられた。

 結構な土砂降りだったのだが、しばらくすると晴れた。途端に、アブラゼミがそこらじゅうでジィジィ鳴き始めた。いかにも夏という感じがする。

 アブラゼミで鳴くのはオスだけで、あの声でメスに己の存在をアピールするらしい。メスからすると、「あらん、いい声!」とあのジィジィにメロメロになるのだろうか。いわば、ジィジィはアブラゼミ・オスのセクシーボイスである。

 同じセクシーボイスでも、ウグイスの春のホーホケキョなんていうのはいかにも美しい。セクシーボイスだと思って聞いてみると、少しばかり色気があるような気もする。

 反対に、サカリのついた猫の声は人間からするとギャアギャアうるさい。あれのどこがセクシーボイスなのだと思うが、まあ、猫には猫の感じ方があるのだろう。アブラゼミやウグイスと違って、メスがオスにアピールすることが多いらしい。オスも同じような声で返すことがあって、「ギャアギャア」「ギャアギャア、ニャオーン」とやかましい愛のささやき(でもないが)もあったものである。

 人間も猫のような声で求愛しあったら、随分と面白いのだが。公園で、バーで、キャバクラで、「ギャアギャアッ!」と鳴き交わすのだ。色気も何もあったものではない。