飯について語る時代

 少し前に実家に帰った。

 おれはほとんどテレビを見ないのだが、実家に帰ったときは親に付き合ってテレビを見る。

 昼間のテレビを見ると、いわゆる「食レポ」がとても多い。街の有名・無名のお店をレポーターが訪ねて、人気メニューだとか、イチオシ料理だとか、秘伝のナントカを食べ、大袈裟な仕草で感動する(普段、あんな仕草で飯を食うやつなんているのだろうか)。あるいは、スタジオに取り寄せたお菓子や何かを出演者が食べて、大仰なアクションとともに「おいしー!」などとのたまう。

 飯の話はSNSなんかにも多い。昼飯、晩飯にこれを食った、なんていうのを写真付きで載せる人がかなりいる。

 おれはSNSに載せるために料理を写真で撮る行為にいつも少し違和感を覚える。食事をするという行為に余計な夾雑物が混じるような、というか、酢豚の中のパイナップルを食った瞬間のような変な具合である。まあ、各人、好きにすればいいのだが。

 考えてみれば、人々がこんなに飯についてあれこれ語る時代というのもこれまでなかったんではないか。テレビ、SNSは飯と相性がいいのだろうか。よその国にも食レポってあるんだろうか。

 おれはあまり飯に興味がないというか(食欲はある)、美味いものを食べたら「ああ、美味いな」と喜びは感じるが、どこの店がどうの、ということにはあまり興味がない。わざわざ自分から追いかけるということもない。

 それだからか、飯についてやたらと語る風潮をなんだか不思議に感じる。

 結局また自分語りになってしまった。我が強くて、いや、申し訳ない。