おれは高校時代からロックが好きで、高校時代(1980年頃)にはハードロックやプログレにはまっていた。
映画と同じで、今は洋楽のタイトルに邦題をつけることはあまりなく、英文をカタカタ表記するのがメインだ。しかし、70年代から80年あたりまでは邦題をつけることも多く、特にハードロックやヘビメタ方面では「悪魔」とか「地獄」とか「炎」なんていう言葉が氾濫していた。まったくもってどうかしていたのではないかと思う。
たとえば、ヴァン・ヘイレンのデビューアルバム。現代はバンド名と同じ「Van Halen」なのだが、邦題は:
原題とは何の関係もない。
いつも楽しいAC/DCの「For Those About to Rock (We Salute You)」は和訳すると、「これからロックするやつらに(おれらからご挨拶)」みたいなことだが:
ロック→悪魔、挨拶→招待状、という高度な変換が、当時のレコード会社の日本語版担当者の脳内で行われたのだろう。繰り返すが、まったくもってどうかしていたのだろう。
ひどいのはクィーンのヒット曲「Another One Bites the Dust」で、「もうひとりも倒れる」という意味だが、邦題は「地獄へ道づれ」である。いい加減にせーよ、と言いたくなるが、一方で当時の馬鹿な中高生(おれも含む)には地獄とか悪魔とか聞いただけで、ヤベーゼ!、とコーフンするココロがあったのだろう、お恥ずかしいことだ、とも思うのである。
悪魔系邦題(のひどさ)で人気投票をやったら、まず間違いなくトップ3に入るのが、EL&Pの「Brain Salad Surgery」だろう。
ここまで来るとむしろご立派である。
まあ、当時の日本のレコード会社は一種の治外法権的に好きに邦題をつけられたんだろう。しかし、シンディ・ローパーの「Girls Just Want to Have Fun」(女子はただ楽しみたいの、みたいな意味か)を「ハイスクールはダンステリア」という邦題で売ったときは、後で意味を知ったシンディ・ローパーが激怒したそうだ。そりゃまあ、そうだよな。