気持ち悪い言葉

 おれには聞いた途端に反射的に「なんだそりゃ! コノヤロー!」と思ってしまう言葉があって、たとえば、官民一体となって、という言葉がそれだ。

 まず第一に「一体となって」というのが気持ち悪い。役所の好きな「ふれあい」という言葉を漢字で書くと「触り合い」になってしまうのと同じ種類の気持ち悪さだ。

 そのうえ、官民一体ということは官の側からすれば民をうまい具合に利用しつつ主導権は握るということであるし、民間(企業)の側からすれば要するにライトな癒着である。

 官民一体となって、という言葉はたいがい官の側が使う。民間(企業)の側から、官民一体となって、と言うことはまずないだろう。官の側が主導権を握って動かしている、上に立っている、という意識があるからだ。官は偉いのである。アー、ヤダヤダ。

 おれはどうも役所の機構とか動き方が好きになれない。間接的にいろいろと支えてもらっているということはわかっているし、税金払っているから当たり前だ、とエラソーに言う気もない(エラソーに言えるほど大した税金を払ってないせいもあるが)。しかし、建前で動く、あるいはそのときそのときで建前を恣意的にコントロールして事業をやるという役所の体質がイヤで、まあ、お互いなるべく関係ないところで生きていこう、などと思っている。

 もちろん、役所にいるひとりひとりの話ではないよ。役所の構造というか、行動原理みたいなものに由来する話だ。