サムライ・ホテル

 サムライとか武士道についておれは真面目に考えたことがなく、その手の話はたいがい何かの勘違いだろうと思っている。

 YouTubeを見ていたら、ジョン・ベルーシが1970年代にサタデイ・ナイト・ライブ(アメリカの人気バラエティショー)でサムライを演じたコントに出くわして、大笑いした。

youtu.be

 ジョン・ベルーシのサムライ物はいくつかあるが、たいがいはキチガイ路線である。

 着物の中から手を出して顎をポリポリ掻く仕草や、セリフまわしは明らかに「椿三十郎」の三船敏郎のパロディである。さすが世界の三船。国際的に通用するサムライ像、浪人像を作り上げてしまった。

 ハナモゲラ日本語の発音や、デタラメに抜刀して奇声を発するところも素晴らしい。

 おれは現代のサムライ像や武士道というのは、おそらく講談〜大衆小説〜映画〜劇画やテレビ時代劇という流れのなかで生まれてきたファンタジーだろうと考えている。「指輪物語」をもとに、昔はオークやエルフや魔法使いがいたのだと信じるのはいささか滑稽だ。もしかするとサムライにも指輪物語の世界観の原型になった何かはあるのかもしれないが、それはあまりにおぼろげで、多様で、つかみどころがない。

 こういうコントを見ると馬鹿にされた気になって腹を立てる人もいるのかもしれないが、おれは大好きだ。これこそサムライだ!