地場の笑い、中央の笑い

YouTubeでいろいろと笑いについての動画を見ていて、これに行き当たった。大阪の昭和の笑いを担った笑福亭松鶴藤山寛美横山やすしについての番組である。

 

youtu.be

 顔ぶれを見ると、20年ほど前のものだろうか。

 大阪ならではの番組というふうに思う。取り上げられている笑福亭松鶴藤山寛美横山やすしは伝説的人物ではあるけれども、一方でそれを語る人々の口ぶりでは、まるで街角を曲がったところにその人がいてもおかしくないようでもある。

 同じような番組を今つくろうとすると、大阪ではできそうな気がする(取り上げる人物の大小は問わない)。東京では難しいだろう。東京の番組は街角を曲がったところの人を取り上げるにしても、いったん「中央」(全国ネット)の視野に広げざるを得ず、街角を曲がったところという感覚が電信柱一般になってしまうからだ。

 おそらく、1980年頃(漫才ブームの前)ならばまだ東京でも地場の「そこにいた人」の番組は作れたろうけれども、それ以後は中央の番組、あるいは全国ネットの番組になってしまい、こういう人の手触り、肌触りのある番組は、味がうすまって難しいだろうと思う。

 地場の笑いは大阪だけでなく、それぞれの地方でありえるけれども、東京の笑いは中央の笑いに同化してしまって、なかなか東京地場の笑いは作りにくい、とまあ、そんなふうに思うのだ。「〜じゃん」という言い方が東京と全国の両方で通用してしまって、地場で煮込むふうになりがたいように(もともとは横浜横須賀の言葉らしいけど)。