別れの象徴

 映画などで別れのシーンというと、昔から鉄道がよく使われる。港(船)や空港(飛行機)も多い。

 あれは鉄道や船、飛行機だからいいのであって、タクシーだとおそらく今いちである。

 なぜかというと、鉄道、船、飛行機は路線が決まっていて、変わらない、すなわち人生の航路が決まっていて、もう変えられない。そういうイメージが鉄道や飛行機に重なるわけだ。タクシーだと行き先を言いさえすればたいがいどこでも行けるから自由、すなわちこれからどうにでもできそうな印象になってしまう。

 そういう意味では、船であってもレジャーボートは別れの象徴としてダメである。バスはどうだろう。いけるかな。小市民的なところがかえって哀愁かもしれない。

 自転車は論外である。駕籠は問題外の外である。