元号と西暦

 わたしは昭和41年の生まれで、西暦で言うと1966年である。


 昭和が終わったのは20年前だから、今まで生きてきたほぼ半分が昭和、半分が平成ということになる。


 平成となってから、わたしの時代の把握の仕方は西暦一辺倒に変わってしまったようだ。


 例えば、「平成10年」と言われても、ピンと来ない。1998年と言われると、例えば、ああ、不良債権が大問題になってきて、日本経済の底が抜けるとか騒ぎ出した頃だな、とか思う。


 昭和については、割にはっきりした時代感覚があって、自分が生まれる前のことでも、昭和20年代、昭和30年代というと、何となく、世相やなんかのイメージがある。


 平成という元号は、昭和に比べると何となく影が薄い気がするのだが、他の人も同じなのだろうか。


 まあ、昭和には、やはり、平成と比べても、いろいろと大きな出来事があった。戦前、戦争、戦後、高度経済成長期、石油危機、円高不況期、バブルなどと非常に振幅が大きかったから、「昭和○○年(代)」という言い方が印象に残るかもしれない。


 それとも、「平成」という元号は、「昭和」ほどには使われていなくて、自然、こちらも西暦で物事を把握するように変わったのか。
 グローバル化、という言い方はいかにも怪しげでアレだが、まあ、人や情報が国境を越えて激しく行き来するようになると、日本でしか通用しない元号は使いづらいのかもしれない。


 厚生労働省の年金試算などを見ると、平気で「平成112年度」などというもの凄い表記が出てきて、今上天皇は随分と長生きされるのだな、などと思うが、これは今上天皇とは関係なく、役所方面では元号を使う慣習か決まりがあるのだろう。


 平成生まれの人、あるいは平成になってから教育を受けた人――つまり、昭和をあまり意識せずに育ってきた人は、元号と西暦をどういうふうに使い分けて、時代を把握しているのだろうか。
「平成10年」と言われて、ピンと来るのか。あるいは、「昭和30年代」、「昭和40年代」と言われて、何かしらイメージが湧くのか、興味が湧く。


 自分を観察してみると、わたしはこういうふうに使い分けているようである。


・平成は時代の把握には使わない。
・海外の出来事は西暦で把握する。
終戦(昭和20年)まで、国内の出来事は昭和で把握する。西暦はピンと来ない。
・戦後、国内の出来事は昭和で把握できる。特に世相は昭和のみ。西暦はピンと来ない。ただし、バブル期は西暦で把握(昭和から平成にかかる頃だからか)。
・戦後の経済については、古くは昭和、新しくは西暦


 例えば、世界恐慌は西暦。昭和だと、計算しないとピンと来ない。
 二・二六事件は昭和で把握。
 テレビの普及とか、流行った歌謡曲とかは昭和で把握。東京オリンピックや万博は海外とも絡むからか、昭和でも、西暦でも把握。
 高度経済成長までは昭和で把握。オイルショック以降は西暦のほうが把握しやすい。


 みなさんはどうであろうか。


 どうでもよい? ア、ソウ。

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「今日の嘘八百」


嘘七百四十七 元号、西暦の他にオレ暦なるものを制定しようかと考えている。オレ暦元年、オレ、生まれる。