聖火リレー

 北京オリンピック聖火リレーが大変なことになっているようだ。


 チベット問題に端を発して、中国政府に怒った人々が次々にリレーを妨害する、聖火を消しにかかる、という挙に出ている。


 でもって、運営側は、リレーの走者に屈強なガードの人々を伴走させる、聖火をバスで運ぶ、突然コースを変更する、などという策を取っている。


 しかし、思うのだが、あれ、無理に聖火を守ろうとするからいかんのではなかろうか。


 北風と太陽の北風。
 屈強なガードの人々が怖い顔して周りを固めていれば、そりゃ、カッカとしている側は、「ちくしょー、どうにかしてやりてえ。ファック・ユー。タマーダ、バイチー、ワンバーダン」とますます燃えるだろう。


 こうすればよい、とわたしは思う。


  逃げる。


 実にシンプルな解決法である。


 聖火を持った走者が全速力で逃げるのだ。


 当然、逃げる者を見れば、追いかけたくなるのが人情というものである。


 国境なき皆さんが、わーっと追いかけてくるのを、走者は、振り切り、振り切り、ひたすら逃げる。次の走者(複数の逃走経路に配置しておくとよいだろう)に渡すまで、駆けに駆ける。


 息が続かずに倒れたり、横合いから急に出てきたのに聖火を奪われたりしたら、一番近くの経由地点から、また新しいトーチでやり直せばよい。


 時には、奪った人が聖火を手にした途端、「あれ?」と不思議な閃きを得て、北京に向かって走り始めるかもしれない(人間の行動は、しばしば立場が決めるものである)。


 そうやって、追いつ追われつしながら、集団で、楽しく北京まで向かうとよいと思う。


 BGMに、ハチャトゥリアン(いい名だ)の「剣の舞」を流すと、いっそう盛り上がると思う。

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「今日の嘘八百」


嘘七百十一 このままでは、中国が北京オリンピック出場をボイコットする恐れがあるという。