おいしい言葉

 響きのおいしい言葉というのがあって、例えば、植木等のスーダラ節の「スイスイスーダラダッタ、スラスラスイスイスイー、っと」なんてのがそうだろう(最後の「っと」も効いている)。


 谷啓の「ガチョーン」もそうだ。「チョ」のところが特においしい。


 もっとも、これは谷啓があの声でやるから、ン〜、デリ〜シャス、というところもあって、安倍総理あたりがやっても、あんまりおいしくならないだろう。
 放っておくと、「ガチョーン! 美しい国、ニッポン!!」などと言い出しかねない。用心したほうがいい。


 あるいは、コメディアンとしては植木等谷啓の先輩であるトニー谷の「ネチョリンコン」なんていうのも、いささか醗酵しているが、おいしい。
 ただし、醗酵物であるからして、好き嫌いは分かれるかもしれない。


 で、わたしもひとつ、おいしい言葉を紹介したい。


「チョップ」


 これである。


 わたしの年齢では同時代体験していないが、力道山の空手チョップ。あれは随分、効いたらしい。


 プロレス方面のことはよくわからぬが、チョップが必殺技だった、なんていうのは、あの時代くらいだったのではないか。


 ぜひミナサンも口ずさんでみていただきたい。
「チョップ! チョップ! チョップ! チョップ! チョップ!」


 何かこう、ハイになってこないだろうか。同時に、舌先のあたりにチョップのおいしさがたまってくる(おいしさが広がるのではなく、たまるのだ。チョップの場合は、なぜか)。


 チョップのおいしさを画像で表現してみました。



 なぜかはわからねども、「チョップ」には駄菓子屋系統のおいしさがある。

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「今日の嘘八百」


嘘四百三 鼠小僧次郎吉の弟子のそのまた下働きに、二十日鼠小僧定吉という丁稚がいたという。