誠意

 自分で言うのも何だが、わたしは誠意ある男で、新撰組のハッピのように(あれは羽織か……)、背中に「誠」と書いてあるくらいである。


 もっとも、その下に小さく「かっ?!」という文字も入っているのだが。


 生まれた直後には、七歩歩いた後に静かに端座して、「誠心誠意務めさせていただきます」と世間様に向かって、深々と一礼したそうである。


 そんなわけで、今日は誠意について考えてみたい。


 企業や役所で不祥事が起きると、記者会見に企業や役所のエラい人達が出てくる。
 そうして、事件の経緯や、今のところ把握している事実について説明した後、立ち上がって深々と頭を下げる。


 エラい人達であるからして、たいがい、年もそれなりに行っている。
 年もそれなりに行っているからして、我々はしばしばこのような光景を目にすることになる。




 まあ、肌色の部分については自然の摂理であるからして、別にとやかく言うことはない。


 最近はこの、「エラい人達が記者会見で頭を下げる」という行為もパターン化してきた。


 立ち上がる前に、エラい人達同士で、「では、そろそろ」、「参りますか」というふうに目配せをする。
 わたしはあの目配せを見ると、「何だか誠意が感じられんなー」と思うのである。


 立ち上がった後、全員揃って、数秒間、頭を下げる。
 あの頭の下げ方もいかにも型通り、というふうで、邪推かもしれないが、「とりあえず謝っておけや」という安易な意識と、「あの馬鹿どものせいで、なんでこのおれが」という屈辱の念すら感じてしまう。


 個人個人が「誠にすまんことをした!」と反省しているなら、なぜ全員、角度も時間も揃ってしまうのか! と、そこらへんが、誠意ある男として大変不満なのである。


 では、もっと誠意を見せようというので、マジックを使い、こうしたらどうなるか。



 おそらく、「ふざけるな!」と世間様から非難を浴びるのである。


 本人達は、誠意を尽くして、重ね重ね謝っているというのに。


 なぜだろうか。


▲一番上の日記へ

                  • -


「今日の嘘八百」


嘘百三十二 いやー、いろいろ勝手なこと書いて、ホント、反省してます。