こだま・ひびきという大阪のベテラン漫才師がいる。泥臭いというか、コテコテというか、お好み焼きにベッタリ塗ったソース(マヨネーズ入り)のような濃ゆさが特徴だ。むりくりにでも笑いにもっていく芸風で、東京のもりそば的な芸が好きな人はちょっと苦手かもしれないが、おれは好きだ。
こだま・ひびきのギャグに「チッキチー」というのがあって、このフレーズをいいながら、こだまが親指を立てて突き出す。その親指には「チ」と書いてある。文章じゃわからないですよね。こういうのです。
チッチキチーの意味はといえば、「意味はないけど、楽しい言葉や」だそうだ。素晴らしい。
それでふっと思いついたのだが、俳句。あれの終わりをチッチキチーにすると、すべてが楽しくなる。たとえばだ。
古池や 蛙飛び込む チッチキチー
意味はないけど、楽しい俳句だ。
同じ芭蕉の最後の句。
旅に病んで 夢は枯れ野を チッチキチー
無化というのかな、こういう全てをナシにしてしまう手法、おれは大好きだ。
やはり芭蕉の句。
五月雨を あつめて早し チッチキチー
五月雨つながり、蕪村で行ってみよう。
五月雨や 大河を前に チッチキチー
小林一茶。
雀の子 そこのけそこのけ チッチキチー
やせ蛙 まけるな一茶 チッチキチー
目出度(めでた)さも ちう位なり チッチキチー
なんか最後のはかえってさみしくなってしまった。
簡単につくれるので、みなさんもチッチキチー俳句、やってみてください。