培養象牙

 培養肉なるものの研究が進んでいるそうで、肉の細胞を組織培養で増やすというものだ。今のところは価格が高くて実用とまではいかないそうだが、それでもこういうものは需要が見込める限りしつこく研究されるんだろう。

 それでふと思ったんだが、象牙の培養はどうか。ご案内の通り、象牙は工芸の素材や漢方薬として珍重される一方で、それを目当てとしたアフリカ象の密漁が横行している。高価なんなら、培養も元がとれるだろう。エッヘン。おれ、もしかして天才。

 しかしまあ、象牙がただシャーレの中で増えるというのも面白くない。どうせなら、あの牙の形ごとニョキニョキ生やしたい。象牙工場では象の牙が下から上へと大量に生えているのだ。

 同様に、サイの角というのも珍重と密漁の的になっているそうで、こいつも工場でニョキニョキ生やしたい。いっそ、サイの顔ごと生やしたい。どうせなら、象牙の隣に鼻も生やしたい。

 どうもこういうグロテスクな話は、自分でヒーと思いながらもヨロコんでしまう。グロ心とでもいうべきものが人間にはあって、それは実は象牙をヨロコぶ心と根っこは同じじゃないかと思うのだ。

 

Ivory carvers in Tokyo, by Herbert Ponting