茶室で◯談

 茶道には興味があるのだが、縁がない。抹茶が体に合わないのと、手先が派手に不器用なせいだ(不器用な人間を集めて、国宝・曜変天目茶碗を使った茶会を開いたらどうなるか、想像してみていただきたい)。

 しかし、茶室は好きで、見学する機会があると、いいなァ、と思う。

 茶室のよさは、もちろん、あのしつらえや陰翳のせいもあるのだが、ごく限られた空間の密室状態であることが大きい。日頃の社会的関係や外聞、世間の目を離れて、ひそひそと話すことができる(ようだ)。小さい頃に友達と押入れのなかでひそひそうひうひ話して、妙に隠微に楽しかった記憶があるが、茶室ではああいう体験の大人版を味わえるのだろう。

 例のふとした思いつきだが、茶室で、物理的にもごくごく近しい、口臭すら嗅げそうな薄暗い空間で、怪談や猥談をしたらどうだろうか。うひゃーうひゃひゃひゃもーたまらん助ケテクレ、と大変に良い時間を送れる気がするのだが。

 千利休の待庵でも借りてみるかな。