饒舌-トーカティブ-

 遠藤周作の小説「沈黙」をマーティン・スコセッシ監督が映画化して、ちょっとした話題になっているようだ。

 まだ見ていないが、スコセッシ監督の映画はどれも面白いから、期待できる。
 おれが遠藤周作の「沈黙」を読んだのは数十年も前だが、おおまかなストーリーや印象的なシーンは覚えている。キリスト者ではないが、おれにとっては重く、強い小説だったのだろう。江戸初期のキリシタン弾圧の時代の話で、過酷な運命に置かれたキリスト者をなぜ(キリスト教の)神は救わないのか、沈黙しているのかという問いと、棄教がテーマになっている。
 よく知らないが、人間の悲惨に対する神の沈黙という問題はキリスト教の中では大きな問題で、教会では一応の答(保留も含めて)は用意されているのだろう。でないと、教会は成り立たない。一方で、日本で数少ないキリスト者として育った遠藤周作や、スコセッシ監督が惹きつけられるテーマなのだから、キリスト者の誰しもが得心できる答は出ていないのだと思う。
 で、ここからいきなりくだらないアイデアになって申し訳ないのだが、続編として「饒舌-トーカティブ-」という映画を作ったらどうかと思うのだ。続編というか、アテレコ版。DVDの音声解説みたいな、あんなやつ。「沈黙-サイレンス-」の映像を追いながら、神様が音声解説しまくるのだ。衝撃だろう。
 映画「饒舌-トーカティブ-」、2018年1月21日公開。うそ。