1868年以降は東京時代と呼ぶべきではないか

 我が国の歴史はご承知の通り、奈良時代平安時代鎌倉時代室町時代、戦国時代、安土桃山時代、江戸時代・・・と区分される。

 戦国時代を除けば、おおむね日本の多くを束ねたとされる政治権力の拠点の地名に「時代」をつけている。室町時代は京都の室町(同志社大学のあたり)に幕府があったからだ。奈良時代の前は飛鳥時代で、これまた飛鳥の地に都があったせいだが、この時代にはいくつか都が移っている。

 安土桃山時代だけはちょっと変わっていて、織田信長安土城にいたのは3年ほどだし、桃山とは伏見城(秀吉の城)の跡地に桃の木が植えられたからだそうだ。織田信長が日本を束ねるほどの政治権力を握っていたといえるかどうかは怪しく、秀吉の時代も含めて戦国末期と捉えたほうがいいのではないか。

 明治維新以後は明治時代、大正時代、昭和時代と元号で呼ぶのが普通だ。時代区分としてはどうなのだろう。明治も前期と後期(憲法発布以後)ではだいぶ様相が違うだろうし、政治的には明治後期から大正、昭和の敗戦までの連続性のほうが高いように思う。一方で、昭和は日中・太平洋戦争の敗戦までとそれ以後では政治のあり方も経済も価値観も違っているから、「昭和」とまとめるのは無理がある。

 いっそ、明治以降も政治権力の拠点の地名をとって「東京時代」と名付けたらどうだろう。明治維新から現在まででほぼ百五十年だから時代の長さとしてはそう悪くないように思う。天皇を奪われた関西の人たちや、「地方をないがしろにする」と地方の人たちが怒るかしら。

 別に「地名」という筋を通したいわけではない。「明治という時代は」「大正の頃は」「昭和は」などという言い方がされるけれども、時代のあり方と元号はあまり関係ないんじゃないかと思っただけである。