最初に自殺した人

 深刻なテーマをおれのような馬鹿者が扱って申し訳ないのだが、人類史上、最初に自殺した人というのはどういう人で、どういう理由だったのだろうか。

 自殺自体はかなり古く、中国の史記にはよく「自刎」という言葉が出てくる(自分で首をハネるということらしいが、ハテ、本当にそんなことできるのかしらん)。しかし、それより古い話について、おれは無学で知らない。

 人間以外の動物が自殺することはなさそうだ。レミング集団自殺するという話があるけれども、どうやらあれは誤解らしい。また、クジラやイルカが浜に打ち上がって、まるで自殺に見えることもあるけれども、本当のところはクジラやイルカに聞いてみないとわからない。たぶん、違うのではないか。チンパンジーやボノボのような人類に近い類人猿も自殺はしないようである(よく知らないので、正しい知識のある方は教えてください)。

 仮に、人間だけが自殺するとしたら、歴史上、最初に自殺した人がいたはずである。それは、個人的な苦しみのせいだったのか、命じられたものだったのか、切腹や殉死のような半ば制度や「期待」によるものだったのか、恥や名誉がからむものだったのか。

 人間の知性や感情、道徳というもの、あるいは社会制度というものは自殺を起こしうるレベルに達したとき、一段あがったと言えるかもしれない。

 おれは、同じように、歴史上、最初にスキップした人というのはどういう人で、どういう理由だったのかも知りたいと思っている。