転がる人

 毎年、日本ではノーベル文学賞村上春樹が受賞するとかしないとか話題になる。
 ノーベル文学賞がどういう質(量の話ではない)のもので、国際的に(つまり、スウェーデン人やアメリカ人やフランス人やイギリス人やイラン人やアルゼンチン人やインドネシア人やオーストラリア人や南アフリカ人やカザフスタン人にとって)村上春樹の受賞がどの程度の確度のものなのか、おれにはわからない。もしかすると、県出身の力士が幕内で頑張っていて、横綱を期待されるようなものなのではないか。知らんけど。
 ともあれ、ボブ・ディランノーベル文学賞受賞である。漢詩が唄いと離れて、読み物となったようなものかもしれない。
 おれが好きなエピソードはみうらじゅんのものである。
 みうらじゅん(熱狂的なディラン・ファンとして知られる)が初めてボブ・ディランと会って、あれやこれやと自分語りをした後で、ディランはこう尋ねたそうだ。「で、お前は定職についてないのか?」。
 ライク・ア・ローリング・ストーン。