意識高いけ?

「意識高い系」という言葉があって、幸か不幸かおれはそう呼ばれたことがないが、いやらしい語感である。
「いやー、あなたは意識が高い!」と言われれば、おそらくは褒め言葉だ。しかし、「いやー、あなたは意識が高い系!」と言われたら、不穏な空気が流れるだろう。ちょっとした違いだが、大きな違いである。
「意識高い系」の何がいやらしいかというと、ひがみ、やっかみ、ねたみの三み一体であるとともに、小中学生が優等生の発言に陰口をたたくのに似た心理が潜んでいるところだ。相手をひそかに引きずり下ろして相対的に自分を高めようというやり口である。さらにその奥には低いレベルでの同質化を求める集合的セコ無意識がありそうだ。なぜそういうことがわかるかというと、おれの心のどこかにもその手の心理があって察しがつくのである。申し訳ない。
 誰かを「意識高い系」と呼んで、引きずり下ろしを図る卑怯者に出くわしたら、こう聞き返すとよいと思うのだ。「あ、じゃあ、あんたは意識低い系なんだ」。