デジタルネイティブ

 正月に実家に帰って、姪、甥と顔を合わせた。
 甥はまだ2歳で言葉もそこそこだが、やたらとスマホを操って動画を見ていた。あー、まさにデジタルネイティブなんだなー、と感じ入った。
 おれは今49歳で、翻って考えてみると生まれた頃から家にテレビがあった。テレビネイティブである。ただし、小さい頃はまだ白黒テレビだった。もう少し下の世代になるとカラーテレビネイティブになる。
 もう少し上の世代は電話ネイティブなのだろう。各家に固定電話が定着したのはいつ頃なんだろうか。古い録音で、先代の三遊亭円歌が「呼び出し電話」というネタをやっているCDを持っている。昔の呼び出し電話はこんなでしたなあ、いろんな人が家に電話を借りに来ましたなーという噺で、おそらく昭和三十年代頃の録音だから、当時はまだ呼び出し電話の記憶を持つ人が多かったのだろう。
 電話ネイティブとラジオネイティブのどちらが先の世代なのだろうか。今、素早く調べてみると、ラジオの本放送開始は1925年(大正14年)で昭和一桁の頃に全国の家庭に広まったようだ。一方で、日本での電話のサービススタート自体は1890年(明治23年)と古いが、住宅用電話の世帯普及率が50%を超えたのはようよう1974年(昭和49年)のことである。アパートのような共同利用のケースもあったろうから、一軒家などへの普及はもう少し早かったのかもしれないが、ともあれ、生まれた頃から家に電話があったという意味での電話ネイティブの登場は案外と遅い。1966年生まれのおれは実は電話ネイティブより前の世代であるらしい(幼児の頃に家に電話があったかなかったかちょっと思い出せない)。
 ともあれ、それぞれの前の世代と比べたとき、デジタルネイティブにはデジタルネイティブの、テレビネイティブにはテレビネイティブの、ラジオネイティブにはラジオネイティブの、物事の把握の仕方の違いはあるだろう。一方で、人の考え方や感じ方、情みたいなものはそれほど変わらないところもあるんじゃないかなー、なんぞと、特に根拠もないんだが、おれはそう思っている。