お金と人間の構想力

 ふと思ったのだが、もし「1兆円宝くじ」というものがあって当選したら、人は何に使うだろうか。
 実際には、宝くじの総売上は多くても2千億円弱だそうだから、賞金1兆円ということはあり得ないのだが、そんな小さなことはどうでもよい。「もし、突然1兆円が自分のものになったら何に使うと普通の人は考えるか」に興味が湧いたのだ。
 おれはどうだろう? いっそ、東芝でも丸ごと買うか? 買ってから何をすればいいのか途方に暮れる。あるいは、どこかの県でも丸ごと買うか? ⚪︎⚪︎県くらいなら(⚪︎⚪︎には好きな言葉を入れてください)買えるかもしれない。しかし、買ったからとて何ができるのだろう。それに、まず最初に地権者と交渉するために組織を作らねばならず、それではただの仕事(しかも無目的の)と化す。いっそ、戦闘機を大量に買って、空港造って、パイロットと整備士を雇い、空軍でも作るか? で、その先、何をすればいいのだ?
 結局、おれの場合は豪遊とやらをやってみて、そこそこの生活を送れる分を手元に残し、あとは寄付して終わりそうだ。事業家精神のある人なら、財団法人を作るか何かをして、世の中に役立てることを考えるのだろうけど。比較的若くして財をなした実業家が後世を慈善事業に費やすのも、なんとなくわかる気がする。
「もし、突然1兆円が自分のものになったら」という問いは、その人のスケールや構想力を知るひとつの道具になりそうだ。これをお読みの方、あなたなら何に使いますか。