河童と水難

 出所がわからないのだが、こういう絵がある。

 川を泳いでいる少年に河童が二匹襲いかかり、尻子玉を抜こうとしているところらしい。必死に抵抗する少年の顔がスリリングさを大いに増している。褌姿が妙にエロティックだ。おれには少年愛の趣味はないけれど、この絵一枚でお銚子三本はいけるね。
 尻子玉というのは、肛門の奥にあるとされた玉で、どういうわけか、河童はこれを抜き出すことに執念を燃やしているらしい。以前に、こんな説明図を描いてみたことがある。

 川を泳いでいたら、河童の手がぬるっと尻の穴に突っ込まれる。これは相当気味が悪い。
 この夏もいろんな水難事故の話を聞く。子供が川で流されたという事故もあった。
 昔は「川で遊ぶと河童に尻子玉を抜かれるぞ」と言われたそうだ。今となっては非科学的な伝説に聞こえるけれども、誰かが言っていたが、あまり川の深いところへ行っては危ないということを子供に恐怖で伝えているとも考えられる。
 経験的に積み重ねられてできあがった知恵というのか、昔からの言い伝えや風習には、現代人の愚かで単純な合理的思考では見落としてしまう非合理の中の合理みたいなことが存在する場合もあると思うのだ。
 ともあれ、絵の少年にはぜひ貞操(?)を守り切っていただきたい。