理不尽

 世の中にはいろいろと理不尽なことがあるが、これなんぞもそうではないかと思う。

 なまはげである。
 関係ないが、これはなまあげである。

 自分で自分の話の腰を折ってしまった。
人志松本のゆるせない話」で誰かが言っていたが、なまはげ、怖すぎると思うのである。
 ざんばら髪に真っ赤な顔、真っ青な顔、ツノと牙。手には包丁。それでもって家の中にいきなり入ってきて、子供に向かって包丁を振りかざし、「泣く子はいねが〜!」。これで泣かない子がいたらお目にかかりたい。やること、言うことがめちゃめちゃ理不尽である。
 秋田県男鹿半島あたりの子供たち、トラウマにならないのであろうか。いや、きっとトラウマになっているはずだ。おそらく、男鹿半島出身の人たちは、大人になってから、家に知らない人間が入ってきて包丁をふりかざしたら、突然、恐怖を覚えるに違いない。誰でも覚えるか。
 もちろん、おれは理不尽だからとか、子供が怖がるからなまはげはいかん、と言いたいわけではない。おれはバカだが、馬鹿ではないのだ。なまはげの理不尽さを、おれはただただ面白いと思っている。