年齢とストライクゾーンについて

 男の場合、人それぞれ「いいナァ、この人」と感じる女性のストライクゾーンというのがあって、どうやら年をとるにつれてそのストライクゾーンは広がっていくようである。飲み屋でのバカ話レベルだが、おれだけではなく、結構多くの男がそうであるらしい。
 ガキの時分は「この人でなければ」と思い込み、二十代の頃も「こういう人がよい。ああいう人は嫌だ」などと己の実力もわきまえずに贅沢なことを考えるものだが、三十代、四十代と進むにつれて「んー、なんかいいねェ」と思う人が、見てくれの幅も、年齢の幅も広がっていく(性格についてはよくわからない)。同世代の女性も(当然だが)自分と一緒に年齢が上がっていくせいだろうか。それとも生命力の弱まりとか、残されている時間とかも関係しているのだろうか。
 もちろんいい悪いの話ではなくて、「ワシは関根恵子しか認めん! 高橋になってからの恵子も認めん!」という信念の人がいてもそれはそれでかまわない。
 女性の場合はどうなのだろう。飲み屋での取材が足りなくてよくわからない。やはり女性も「いいナァ、この人」と感じるストライクゾーンが、年を重ねるにつれて(ここで「年をとる」とはっきり書かないところがおれのやさしさだ)広がるのだろうか。
 しかしまあ、広がったストライクゾーンにこちらはビュンビュン投げこむのだが、誰もいっこうにバットを振ってくれないところが問題である。