陰謀論の三原則

 世に陰謀論というのがいろいろあって、例えば、真珠湾攻撃ルーズベルトは知っていたがわざと放置したのだとか、満州事変は蒋介石の陰謀で引き起こされたとか、イラク戦争は石油利権をめぐる陰謀であるとか、最近では東日本大震災が某国あるいは某社による人工地震である、などというのがある。
 そうした陰謀論を見ると、ほぼ共通して3つの特徴を見て取れるように思う。まずはこいつ。

1. 陰謀を仕掛けられた側がまぬけである。

 陰謀にまんまと引っかかるのだから、まあ、仕掛けられた側はまずまぬけと評してよかろう。

2. まわりの利害関係者もまぬけである。

 少人数の間の話ならともかく、国レベル、社会レベルの話となるといろいろな人がいろいろな活動をして、複雑にからみあい、綱引きを行っている。陰謀というのはそのうちのひとつが巧妙に成功することだ。まわりの人間は深く浅くさまざまな形で関わり合って、何とか自分側を利そうと情報の網の目をめぐらせているはずなのに、誰ひとりとして陰謀に気づかない。陰謀に引っかかった人間と同じく、まわりの人々もまた、まぬけだと言わざるを得ない。

 でもって、最後に読点を打つのがこいつだ。

3. 陰謀論を信ずるまぬけが一定数存在する。

 世に陰謀というのはいろいろあるんだろうが、多くの人間と多くの活動が絡まる大きな事象においてひとつの陰謀「だけ」が物事を動かすことはまずないだろう。陰謀論を信ずる人というのは多数の物事の絡まり合いということをてんで考えない。見たいものだけを見ようとして、それで事足れりとするのだから、やはりまぬけである。そうしてそういう人が複数存在してつながると陰謀論が広まるのだろう。

 以上、

1. 陰謀を仕掛けられた側がまぬけである。
2. まわりの利害関係者もまぬけである。
3. 陰謀論を信ずるまぬけが一定数存在する。

 これをイナモトの陰謀論三原則と呼びたい。誰か、Wikipediaに書いてくれ。