鳥たちの沈黙

 土曜日の夜に自転車でケンタッキーフライドチキンの前を通ったら、店の外まで列ができていた。そのときふと思ったのだが、この数日に向けて世界中で何億のニワトリや七面鳥がつぶされたのだろうか。鳥の死因として「クリスマス」は相当に高位なんではないか。誰かの誕生日を祝うために、あるいはそれにかこつけて馬鹿騒ぎするために、世界中で鳥が大迷惑である。
 クリスマスに鳥を食べるという習慣がどこから広まったのかは知らない。あるいは、比較的後世のことのような気もするし、地域によっては「クリスマスに鳥? 何の関係があるの?」というところもあるかもしれない。しかし、西洋文化の引力圏にある日本では少なくとも「クリスマスに食うといえば、ケーキか鳥」ということになっている。
 おれは動物愛護の人ではないし(動物の前におれを愛護してくれ)、菜食主義者でもない。つぶされる鳥が可哀想なんてさらさら思わない。一方で、ほんの少しは「鳥の身になったら大変な時期だよな」などという想像くらいはする。
 こういう発想は、一神教ではなくてアニミズム、山川草木悉皆成仏みたいな見方が生まれる日本で生まれ育ったからなのだろうか。チキン・ジョージさん、どう思います?