ずっと謝っている人

 脳の回路が変なふうにつながっているのか、急に妙なことを思い出し、妙なことを思って、可笑しくなることがある。
 京都の京阪三条の近くに高山彦九郎の大きな銅像がある。どんなエピソードに基づくのかは忘れたが、高山彦九郎銅像は土下座している。銅像だから、ずっと謝っている。そう考えたら、可笑しくてしょうがなくなった。
 雨の日も謝っている。風の日も謝っている。晴れた日も謝っている。台風の日も謝っている。夏の真っ盛り、蝉の鳴く中で謝っている。秋風が吹くなかも謝っている。冷え込んで寒い、寒いと人々が足早に歩く中も謝っている。春、桜咲き、柳が芽吹くなかでも謝っている。とにかく「ずっと謝っている人」である。
 京都の三条駅あたりに行く機会があったら、ぜひ。
(本当はあれは謝っているんじゃないそうだけど、謝っていると見たほうが面白いから、それでいいじゃない)