宮沢章夫の「アップルの人」を読んでいたら、ネットショップの文面について書いたこんな文章があって、笑った。
ことによると、それはひどいダミ声なのかもしれない。がらがらの声で語りかけられる。
「ご相談はこちらから」
おまえは競馬の予想屋か。
そうなのだ。わしらはネットショップの文がどのような声で語っているのかをたいがいは知らないし、想像しようともしないのだ。
たとえば、Amazonのトップページにはこんな文面が出る。
こんにちは、稲本喜則さん。 おすすめ商品があります。 本人でない場合はこちら。
おそらく、多くの人が半ば意識せずに想定するのは、バリトン、テナー、アルトの中庸的な声、あるいはそれらの入り交じった漠としたやわらかい声ではないか。しかし、そんなこと、わからないじゃないか。競馬の予想屋声のオッサンが語っているのかもしれないし、オペラのソプラノがフォルテッシシモで怪音波的に歌い上げているのかもしれない。
音声読み上げソフトというのがあって、ウェブサイトの文章を読み上げてくれる。よくは知らないが、おそらくはほとんどが無機質な機械音声なのだと思う。もしいろんな声でネットショップの文面を読み上げたらどうなるのだろう。
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競馬の予想屋が、オペラの怪音波女が、赤羽あたりのスナックのママが、対人関係の苦手なぼそぼそ声のオタクが、これらを読み上げてご案内したらどうなるのだろう。
画期的な音声読み上げソフトになると思う。誰か、開発してくれ!
- 作者: 宮沢章夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/12/20
- メディア: 文庫
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