コピー文化の蔓延

 広告コピーの言葉遣いには独特の癖のようなものがある。いかにもコピーと感じさせる言い回しのことだ。優れたコピーは案外とそういう癖に染まりきらないように注意して作られているが、二流、三流のコピーはじゃぶじゃぶと使う。

 通販やチラシの商品の宣伝文句は、コピーライターではなくて、担当者が作ることも多いだろうが、そういうものには「コピーっぽく作ろう」という意識が働くのか、コピー独特の言い回しが計算なしに使われることが多い。たとえば、「今、話題の」とか、「〜の時代。」とか、「こだわりの〜」というフレーズだ。お店の看板にも、店の人が考えるのか、見かけることがある。

 その手の言い回しが蔓延していて、おれはちょっと食傷している。効果も疑問である。「今、話題の」と書かれて、「へええ、話題なのか!」と素直に信じる人がどのくらいいるだろうか。その手の言い回しが世の中であまり使われていないなら効果もあるかもしれないが、さんざっぱら使われているので、見るほうも「またか」と思うほうが多いだろう。

 安易な「コピー風」の宣伝文句は商品を安く見せるので、注意したほうがよいと思う。もちろん、安くても、食傷されても、効果があるのなら別なんだが。